Slide 1: 特別調査委員会による調査結果について
特別調査委員会による調査結果について 2026年3月31日 新丸の内総合法律事務所 弁護士 名取 俊也 長島・大野・常松法律事務所 弁護士 辺 誠祐 合同会社デロイト トーマツ 公認会計士 佐藤 保則
Slide 2: 調査の概要①
2 調査の概要① 本特別調査委員会は、2026年1月14日、KDDIから、ビッグローブ及びジー・プランにおける実体のない循環取引 (以下、本件架空循環取引)に係る調査を委託された ◼ 調査目的 ① 本件架空循環取引の事実関係の解明 ② 本件架空循環取引による連結財務諸表への影響の有無及び影響額の検討 ③ 本件架空循環取引に類似する事案の有無の確認 ④ 本件架空循環取引が生じた原因の分析及び再発防止策の提言 ⑤ その他、特別調査委員会が必要と認めた事項 ◼ 委員会の構成 委員長:名取 俊也(弁護士 新丸の内総合法律事務所、元最高検察庁検事) 委 員:辺 誠祐(弁護士 長島・大野・常松法律事務所)
Slide 3: 調査の概要②
3 調査の概要② ◼ 調査の方法 2026年1月14日から3月31日まで、本件架空循環取引及び類似事案の調査を実施 ⚫ 本件架空循環取引調査の実施方法 ① 関係資料の確認 ② デジタルフォレンジック調査(電子メール、チャットなど電子データ約337万件を収集し、12万3,485件につき確認) ③ 関係者80名に対するヒアリング(延べ98回) ⚫ 類似事案調査 ① KDDI及び全て*の連結子会社(2025年12月時点)の類似事案調査 ② ビッグローブ及びジー・プラン役職員778名へのアンケート調査等(内768名から回答受領) ◼ 留保事項 • 本調査は任意の調査であり、関係者の任意の協力が得られた
Slide 4: 本件架空循環取引の事実関係及び概要
4 本件架空循環取引の事実関係及び概要 ◼ 調査の結果判明した事実関係 • 遅くとも2018年8月~2025年12月まで、ジー・プラン(2023年1月からビッグローブに兼務出向)a氏主導により、 b氏の協力も得ながら本件架空循環取引が継続的に行われていたことが認められた • ジー・プラン及びビッグローブにおける広告代理事業の売上のうち概ね99.7%が架空循環取引であった • 連結子会社において類似事案の存在は確認されなかった • ジー・プラン、ビッグローブ、KDDIにおける組織的な事案ではないことが確認された ◼ 本件架空循環取引の概要 本件架空循環取引の商流 • 対象となった広告代理事業は、
Slide 5: 本件架空循環取引の経緯
5 本件架空循環取引の経緯 ◼ 本件架空循環取引の経緯 • 2018年2月 a氏主導で開始した広告代理事業での数十万円の赤字発生及び数千万円単位の売上目標未達による焦り から、赤字補填及び売上目標達成のために架空売上の計上を考える* • 2018年8月 遅くともこの時期から本件架空循環取引を開始 • 2020年4月 同事業増員のため、b氏がジー・プランに入社 その後、a氏の指示により本件架空循環取引への協力を開始 • 2022年12月頃 ビッグローブの資金力・信用力等を活用した同事業拡大を図るため、ビッグローブが商流に参入し、 KDDIのグループファイナンスも活用。a氏及びb氏が実質的に関与し
Slide 6: 本件架空循環取引の手口
6 本件架空循環取引の手口 ◼ 支払サイトの差異を利用した取引継続のイメージ • 一部の下流代理店やビッグローブ が短い支払サイト(15日サイト) で先出し*することで、循環させる 金銭の原資を獲得 • 環流させる金額は、それ以前の支 払サイクルにおける支払額を賄い、 更に手数料も上乗せした金額と する必要があるため、雪だるま式 に金額規模が膨らんでいく構造と なっていた * 本件架空循環取引において自社が支払を受けるより先に支払を行うこと
Slide 7: 本件架空循環取引の発覚を免れるための対応
7 本件架空循環取引の発覚を免れるための対応 ◼ 取引の開始や実施にあたっての対応 • ジー・プラン(a氏又はb氏)が関与しない形で下流代理店と上流代理店が接触することが極力ないようにしていた • 各代理店との間で、契約書や請求書等を作成し、正規の取引と同様の証憑上の外観を備えさせていた • 対象商品として成果単価の高額な商品を選定し、取引金額が高額であることの説明が付くようにしていた ◼ ジー・プラン及びビッグローブの役職員等に対する対応 • 各代理店との本件架空循環取引のやり取りはa氏及びb氏が独占し、他の役職員に関与させていなかった • 他の役職員の疑問や指摘に対して理由を付して説明を行
Slide 8: 本件架空循環取引の関与者
8 本件架空循環取引の関与者 ◼ 本件架空循環取引の実行者と動機 ⚫ ジー・プラン(2023年1月からビッグローブに兼務出向) 元従業員 a氏: 2017年頃にジー・プランにて、広告代理事業を立ち上げ。本件架空循環取引を主導 【動機】 • 自身が立ち上げた広告代理事業の業績が当初の想定を下回り、売上・利益を改善できない場合には同事業から撤退 しなければならないとの焦りを抱いていた。そのような状況の中、同事業で生じた赤字を補填するとともに、売上目標を 達成するために本件架空循環取引を開始。金額が雪だるま式に増えていく中で本件架空循環取引を止められなくなった。 • a氏は、本件架空循環取引を関係者
Slide 9: 会計上の影響額
9 会計上の影響額 単位:億円 訂正されるべき 訂正されるべき 会計年度 外部流出額 売上高 売上総利益 2023年3月期以前 ▲417 ▲24 ▲17 2024年3月期 ▲543 ▲56 ▲37 2025年3月期 ▲824 ▲169 ▲105 2026年3月期 ▲676 ▲250 ▲171 第3四半期累計 合計 ▲2,461 ▲499 ▲329 ※本件架空循環取引が確認されなかった取引先との取引金額は、広告代理事業全体の取引金額と比較して極めて少額であり、 重要性が乏しいことから、同事業における調査対象期間の全取引を対象として算出 ※ 外部流出額は、ジー・プラン及びビッグローブ以外の上流代理
Slide 10: 原因分析と再発防止策の提言 ①
10 原因分析と再発防止策の提言 ① 広告代理事業を行う企業としての問題 再発防止策の提言 ジー・プラン ビッグローブ ジー・プラン ビッグローブ 広告代理事業に関する知見の全社的な不足と 全社 全社 新規事業に係る不正リスク評価及びリスク管理体制の強化 リスク感度の不足 特定の担当者への業務の集中と牽制機能の不全 事業部門の体制見直しによる不正の機会の排除 • 業務の属人化 第1線 第1線 • 業務の属人化の解消 • 下流代理店に対する発注及び支払プロセスにおける • 発注及び支払プロセスにおける権限分離の徹底 不十分な権限分離 事業部門の不十分な管理 コーポレート部門による事業精査及び不正
Slide 11: 原因分析と再発防止策の提言 ②
11 原因分析と再発防止策の提言 ② 子会社管理体制の問題 再発防止策の提言 ビッグローブ KDDI ビッグローブ KDDI 新規事業に係る • 知見が乏しい事業への 広告代理事業に関する知見の全社的な不足と 全社 全社 不正リスク評価及び 理解促進 リスク感度の不足 リスク管理体制の強化 • リスク感度の強化・向上 • 広告代理事業に対する • 事業内容の精査及び 直接管理 ※前頁「第1線」と リスク検知の不足 リスク検知体制の整備 直接管理 ※前頁「第1線」と 部門 同じ問題が存在する • 業務分掌状況の把握不足 • 子会社の内部統制・ 部門 同じ再発防止策が妥当 • 子会社管理体制の不足
Slide 12: 最後に KDDIへの期待
12 最後に KDDIへの期待 当委員会は、経営陣自らが先頭に立ち、 グループ各社の管理体制に応じた実効性のある 再発防止策を策定の上、 着実に実行していくことを強く期待する