Slide 1: パワーインダクタの第一歩 - 基本パラメータを理解する -
パワーインダクタの第一歩 - 基本パラメータを理解する - 蜷川顕二 シニアFAE MPSジャパン 2024年6月 rev 20180504
Slide 2: トピック
トピック 1. インダクタとは? 2. 技術的特性, 電磁気学の基礎 • インダクタンス • 透磁率 • インダクタ損失 3. インダクタを選定するときに重要なパラメータ • 定格電流 • 飽和電流 • 共振周波数 • 巻き始め 4. MPSのインダクタの概要 5. 効率比較 6. Q&A
Slide 3: インダクタを選ぶ
インダクタを選ぶ 電圧 重量 サイズ 温度 電流 周波数 アセンブリ アプリ 効率 ケーション
Slide 4: インダクタとは
インダクタとは コイル状に巻かれたワイヤ o 回路からの電流変化に逆らう • 電流が減少しているとき、インダクタは 減少を妨げる働きをする 磁界 インダクタの主な機能とは? -V+ I← 電流変化に逆らう 電流 - + d • 電流が増加しているとき、インダクタは =L 増加を妨げる働きをする d 磁界 電流に変化があるとき、 +V- インダクタには常に電圧が発生する I→ 電流 + - V=0 I = constant
Slide 5: インダクタとは
インダクタとは • インダクタは電気エネルギー (電流) を磁気エネ ルギーとして蓄積することが可能 磁界Field Magnetic • 電流の時間変化により、誘導磁気エネルギーは 変化し、起電力を発生させる dφ d =− =−L d d 起電力 EMF Current 電流 e 起電力 (EMF : Electromotive Force) dφ 時間の変化によって発生する磁束の変化 d d 時間の変化によって発生する電流の変化 d L インダクタンス値 (単位 H (ヘンリー))
Slide 6: インダクタンス
インダクタンス µ ∙µ L= N2 長さ • L インダクタ値、単位はヘンリー (H) 断面積 • µ 真空透磁率 (4𝜋10−7 ) • µ 比透磁率 コア物質 • AM コイル断面積 • lM コイル長 巻き数 • N 巻数 µo ∙ µr ∙ A 2 L= N → L=𝐀𝐋 N2 l コア物質に関連したパラメータ AL : インダクタンス係数
Slide 7: インダクタンス
インダクタンス µo µr A 2 L= N l 長さ インダクタンスを増加するには: 断面積 µ 高い透磁率のコアを使う l コアの長さを減らす コア物質 A コアの断面積を増やす N2 巻数を上げる 巻き数 サイズ、重量、パフォーマンスのバランスをとる 小さなパッケージは重量を減らすことが可能 巻き数を少なくするとRDCを減らすことが可能
Slide 8: 透磁率
透磁率 磁束密度を上げる素材の能力 B=μ μr H コアの磁束密度 磁界強度 - 物質 - 形状 - 周波数 - 巻数 - 温度 - 電流 - 電流 - 圧力 透磁率を向上 インダクタンスを向上 共振周波数
Slide 9: 透磁率
透磁率 物質 比透磁率 µr 空中 ~1 鉄 (FEベース) 50~150 磁界は変わらず ニッケル - 亜鉛 40~1500 マンガン - 亜鉛 300~20000 磁束密度は高透磁率のコア材料を 使用することで強化可能 B=μ H B = μ μr H
Slide 10: 損失
損失 銅損失 DC損失 インダクタ巻線RDCの放熱 AC損失 周波数による巻き構造損失 近接効果 表皮効果 コア損失 磁性材料損失 渦電流 ヒステリシス損失
Slide 11: 銅損失
銅損失 PDC 銅損失 インダクタ巻線RDCの放熱 より高い放熱、電力損失、効率の低下 ベストな巻線というのは、最小RDCのこと コア材料も影響あり (少ない巻き数の場合) 逆方向での電流 同方向での電流 2ρ PAC 銅損失 δ= ωμ 近接効果 表皮効果 周波数に依存; 周波数が高いほどPAC 損失は増加 有効断面積を減らすと巻線内の電流分散が減る
Slide 12: 銅損失
銅損失 PDC 銅損失 PD =I2 RD インダクタ巻線RDCの放熱 D RD =ρ Ρ 抵抗率 (Cu) A l 長さ A 断面積 l ラウンドワイヤ (丸線) フラットワイヤ (平角線) より高いインダクタンス 巻線エリアが限定されがちで、最 𝐴 = 𝜋𝑟 2 大インダクタンスが小さくなる D = 0.785𝑚𝑚² より大きな抵抗 (RDC) より少ない抵抗 (RDC) l より少ない断面積 巻線窓を完全に使用 多く巻ける傾向 あまり巻けなくなる傾向 𝐴 = 長さ 𝑥 高さ h = 1 𝑚𝑚² 低電流向き 大電流向き…
Slide 13: コア損失 – ヒステリシス損失
コア損失 – ヒステリシス損失 磁束密度 ドメイン構造 B 磁壁 磁区 3 2 0 H =0 1 1 H 0 H 磁界強度 2 H 3 H = MAX 状態依存のふるまい B、H
Slide 14: 定格電流
定格電流 部品の自己発熱は、巻線のRDCにより発生 温度上昇は標準的なものではなく、メーカーによって差がある。 TOP = TAMB + Δ TAMB 周囲温度 : -40℃~85℃ / -40℃~ ?℃ Δ 温度上昇 (自己発熱) : 20K / 30K / 40K / ?K TOP 動作温度 : データシートに記載された最大数値 最大動作温度TOPを超えない • 高温環境下でΔ (自己発熱) を調整する • より大きな部品を使用する
Slide 15: 定格電流
定格電流 最大動作温度の状態に注意する。 周囲温度も同様に考慮する。
Slide 16: 飽和電流
飽和電流 コイルに電流が流れると、コイルは磁界を生成します。 磁性コアは磁場によって磁化され、内部の磁区がゆっくり 回転します。 磁性コアが完全に磁化されると、磁区の方向が磁界に一致 するようになります。 磁場Hが強いほど、磁束Bは強くなる エアギャップが飽和レベルを決める
Slide 17: 飽和電流
飽和電流 ドラムコアシールドリング型 (閉磁路) 最小飽和 セミシールド型 小~中飽和 ドラムコア シールド無し型 (開磁路) 中飽和 成形型 最大飽和 - 飽和電流ポイントはエアギャップが増えると拡張 - 成形インダクタではエアギャップが分散される
Slide 18: 飽和電流
飽和電流 定格電流 =インダクタンス値 30%低下した電流 インダクタンスが小さいほど、 あるいはパッケージ・サイズが大きいほど、 インダクタはより高い飽和電流を扱うことが できるが、より多くの熱を放散する。
Slide 19: 飽和電流
飽和電流 フェライトドラムコア コンポジット成形 ハード飽和 ソフト飽和 インダクタンス [µH] インダクタンス [µH] ISAT 25°C ISAT 25°C ISAT 100°C ISAT 100°C 電流 [A] 電流 [A]
Slide 20: 共振周波数
共振周波数 自己共振周波数は スイッチング周波数よりもかなり高い
Slide 21: 巻き始め
巻き始め コイルの巻き始め側 (ポッチ) をコンバータのスイッチ・ノード側に置く。 IN スイッチングノードを重視して配置 SoW : Start of Winding 巻き始め L IN ND ND • 高調波からの可聴ノイズを避ける • インダクタから発生するエミッションを減らす
Slide 22: MPL-ATシリーズ
MPL-ATシリーズ • MPL-AT (小型の成形インダクタ) • 巻き始め表示 • 薄型インダクタ • 低DCR • 高飽和電流 • ソフト飽和 • 全温度範囲で安定 • 最大動作温度: 125°C • サイズ: 2010 / 2512 / 2514
Slide 23: MPL-AYシリーズ
MPL-AYシリーズ • MPL-AY (成形インダクタ) • 巻き始め表示 • 低DCR • 高飽和電流 • ソフト飽和 • 全温度範囲で安定 • 最大動作温度: 125°C/155°C • サイズ: 3020 / 4020 / 1050 / 1265
Slide 24: MPL-ALシリーズ
MPL-ALシリーズ • MPL-AL (低抵抗成形インダクタ) • 巻き始め表示 • フラットワイヤ構造 • 最小DCR • 高性能 • 高飽和電流 • ソフト飽和 • 全温度範囲で安定 • 最大動作温度: 155°C • サイズ: 4020 / 5030 / 5050 / 6050 / 6060 フラットワイヤ、低DCR、高性能
Slide 25: MPL-SEシリーズ
MPL-SEシリーズ • MPL-SE (セミシールドインダクタ) • 磁気特性を向上させる外部エポキシ樹脂 • 磁気シールド • 低DCR • 大電流 • 最大動作温度: 125°C • サイズ: 2512 / 4030 / 5040 / 6040
Slide 26: 効率 MPQ8883 500kHz 比較
効率 製品型番 L RDC IDC ISAT A/B/C MPS MPL-AL6060-100 10µH 24mΩ 6.9A 6.6A MPQ8883 500kHz 比較 10µH MPL-6060-100 (青) マーケット A / B / C
Slide 27: 効率 MPQ8883 1000kHz 比較
効率 製品型番 L RDC IDC ISAT A/B MPS MPL-AL6060-100 10µH 24mΩ 6.9A 6.6A MPQ8883 1000kHz 比較 10µH MPL-6060-100 (Blue) マーケット A / B
Slide 28: サマリー
サマリー • インダクタは電流の変化に反応 • 誘導電気エネルギーを磁気エネルギーとして蓄える • インダクタンスはコア材料の特性と巻数に依存する • 透磁率の高いコア材で磁束密度を高められる • 損失 • 定格電流 • 飽和電流 • スイッチングノードに巻線の巻き始めを配置する • 高性能なMPSのインダクタ o インダクタを搭載したMPSのリファレンスデザインを提供可能 o MPSのコンバータはMPSのインダクタに最適 • インダクタ計算ツール